滑舌改善のカギは 一音一音を“分離”させること
滑舌の良い人とそうでない人の違いは、『一音一音が分離しているか』の違いです。
そして、その『分離』の鍵となるのが『母音』の響きです。
◎ 聞き取りやすい声:一音一音が分離している
△ 聞き取りにくい声:一音一音が分離せず、くっついてしまっている
私自身、このことを意識することで「聞き取りやすい」と言っていただけることが増えました。
日本語は「母音」を意識することで、グンと聞き取りやすくなります。
滑舌や発声のメソッドは数多くありますが、本ブログではその中でも「母音」と「呼吸」にフォーカスし、とことん掘り下げてお伝えします。
ここぞ!という時に役立つ内容ですので、ぜひお役に立てると嬉しいです。

一音一音を分離させることが、クリアに聞こえるコツ!
すべての日本語は母音(A I U E O)からなる
この図のとおり、日本語は「子音」と「母音」の組み合わせで構成されています。
この「母音」こそが音の土台なのです。

母音を正しく発音することで一音一音が分離し、言葉がクリアに聞こえるようになります。
また、母音は声の通り道を作る役割もあり、滑舌改善のベースとなる大事なポイントです。
例文を使って解説
それでは早速、例文を使って解説します!
<例文>
本日はお集まりいただき、ありがとうございます。
それでは早速、新しい企画について発表いたします。
プレゼンなどの発表の場で使われそうなセリフですね。
これを分解して解説すると、このような形となります。

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忙しい人のための、はじめの一歩
「なんか法則があるっぽいけど難しそう…」と思う方、いらっしゃるかと思います。
実際、劇団四季俳優の方々は、以下の方法で実践されているそうです。
① まず母音で練習 「おんいうあ おあうあいいいああい……」
② ポイントを意識して何度も練習(連母音・連子音・長音etc… )
③ クリアに聞こえるまで、①~②をひたすら繰り返す
この地道な鍛錬を積み重ねていらっしゃいます。
しかし、声が本業でない人たちにとっては、
時間も優先順位も限られており、事前に何度も練習することは
現実的に難しいケースが多いのではないでしょうか。
実際、働いていると
◆ 原稿を準備していても、直前に変更される
◆ 話す事を事前に決めていても、予想外の質問にその場で答えなければならない
◆ 接客や電話対応では、そもそも決まったセリフがない
ってこと、ありますよね。
ですが、
ポイントを知っているのと知らないのとでは、結果は大きく異なります。
実際に何度も練習するのは難しいかもしれませんが、
あまり難しく考えず、思い出してやってみるだけで大丈夫です^^
次のセクションでは、より詳しく解説していきますので、一緒に見ていきましょう!

ポイントを知らずに話のと、知ったうえで話すのでは、大きな違い!
母音法(ぼいんほう)
すべての日本語は「アイウエオ」=母音から成り立ちます。
この母音を明確に発音することで、言葉の一音一音が分離します。
一音一音が分離することで、日本語はグンと聞き取りやすくなるのです。
ではさっそく、実践してみましょう!
用意した例文は、このブログを読んでくださっている方が実際に使う言葉とは違うと思いますが、
「母音のみで練習する」こと経験をするだけで、かなり変わってくると思います。
もし今声が出せる状況でしたら、ぜひスマホ等で録音をしてみてください。

<練習方法>
① 原文を声に出して読む (ほんじつは おあつまりいただき…)
② 母音を声に出して読む (おんいうあ おあうあいいああい…)
③ 慣れるまで②を繰り替えす
④ 再度原文を声に出して読む
どうでしょう? ④の時にクリアになりませんか?
特に、私は「あ」の発音を意識しています。
私は口大きい方ではなく、つい「あ」が「お」に近い発音となる傾向にあるため、
できるだけ口角を上げるように意識しています。
普段よく使う言葉、たとえば自分の名前や、会社・部署名、商品名、etc…
それらを母音で何度か練習してみると良いと思います。
<練習例>
言葉 | 母音 |
株式会社 | あういいあいあ |
お世話になっております | おえあいあっえおいあう |
よろしくお願いします | おおいうおえあいいあう |
お待たせいたしました | おああえいあいあいあ |
おはようございます | おあおーおあいあう ※ |
※「おあおうおあいあう」ではなく、「おあおーおあいあう」と発音します。
これは「長音」といい、後ほど詳しく解説します。

普段よく使う言葉を母音で練習すると、効果は抜群!
ポイント解説(聞き取りにくくなりがちな音)
私は母音で音の響きを確認した後、以下のポイントを意識しています。
連母音 … フレーズの中で母音が2つ以上連なるもの
連子音 … 小さい「っ」
長 音 … 母音を2拍分伸ばす音
撥 音 … 「ん」と発音するもの
無声音 … 音声振動を伴わない音
連母音:母音が2つ以上連続する音を意識する
フレーズの中で母音が2つ以上連なるものを、「連母音」(れんぼいん)といいます。
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この連母音の発音が流れてしまうと、
×「ほんじつはーあつまりーただき」 と、だらしなく聞こえてしまいます。
〇「ほんじつはおあつまりいただき」 と、意識すると効果的です◎
とくに「おあつまりいただき」は同じ母音「RI I」が並んでいますよね。
これは、結構しっかりめに意識しないと流れてしまいます。
他の例としては、
「後ろをご欄ください」
× うしろーごらんください
〇 うしろおごらんください
「明日は雨です」
× あしたわーめです
〇 あしたわあめです
などがあります。
この連母音をしっかり意識して話すと、聞き取りやすさが格段に向上します。
慣れるまではちょっと難しいかもしれませんが、プロっぽく聞こえるポイントです。
ぜひ意識してみてください。
連子音:小さい「っ」は一拍分サイレントにする
一拍分サイレントになる音を、「連子音」(れんしいん)といいます。
子音が連続するので、連子音です。
いわゆる小さい「っ」のことで、「促音(そくおん)」とも呼ばれています。
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連子音が流れてしまうと、早口に、せわしなく聞こえてしまいます。
また、正しく発音されないと、違った意味となってしまう場合もあります。
「切った」
× きた(来た) 〇 きった
「しっかり」
× しかり(叱り、然り) 〇 しっかり
1拍サイレントになることを意識すると良いです。
ただ、不自然に息を止めてしまうと流れが止まってしまうので、
私自身は”スキップ♪”するようなイメージで話すようにしています。
連子音の所をしっかり1拍サイレントにすれば、落ち着いて聞こえるポイントです。
長 音:伸ばすべき音をしっかり伸ばす
母音を2拍分伸ばす音を、「長音」(ちょうおん)といいます。
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日本語って、実はこの「長音」がめちゃ多いです。
たとえば、「おはようございます」と発音すると、不自然ですよね。
話し言葉では「おはよーございます」と発音します。
このように、実際の文字の表記と発音が異なる単語は、日本語にはたくさんあります。
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などなど…
ざっと例をあげましたが、この他にもたくさんあります!
先ほど紹介した「連子音」と同様に、
長音がしっかり伸ばされず詰まってしまうと、早口に聞こえる原因となります。
反対に、長音をきちんと1拍分のばして話すと、落ち着いて聞こえます。
撥 音:「ん」を意識すると全体が落ち着く
「ん」と発音する音を、「撥音」(はつおん)といいます。
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この発音が流れてしまうと、
「ほじつはお集まりいただき…」となり、締まりのない印象になったり、早口・せわしなく聞こえたりします。
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などなど…他にもたくさんありますよね。
この撥音も、グッと落ち着いて聞こえるポイントです。
また、撥音を意識すると、その前後の言葉ももれなくセットで落ち着きます。
普段「早口」と言われがちな人は、ぜひ意識してみてください。
無声音:「です」「ます」を無声化し、キリッとした印象にする
音声振動を伴わない音のことを、「無声音」(むせいおん)といいます。
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「音声振動を伴わない…?」とピンと来ない場合は、英語の「th」の発音を思い浮かべてみてください。
声は出ていないけど、音としては成り立っていますよね。
例文で提示した言葉以外に、日本語には無声音となる言葉があります。
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などなど…。
特に「です」「ます」系は、無声音を意識して話すとスッキリ、キリッと締まった印象になります。
あくまでこれは個人の主観ですが、たとえ無声音を有声化したとしても、特に聞こえにくくなることは無いと思っています。
ただ、無声音化することで、フレーズそのものが言いやすくなるという効果もありますので、知っておくだけで得するポイントです。
まとめ
最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう!
・母音を意識する
・連母音(母音の連続)
・連子音(小さい“っ”)
・長 音(伸ばす音)
・撥 音(“ん”)
・無声音(音声振動を伴なわない音)
理想は事前に原稿やセリフを分析して、ポイントをチェックをしておくことですが、実際仕事をしているとなかなか難しいこともあると思います。

難しく考えすぎず、思い出してみるだけでも効果はあるよ!
是非活用してみてください!
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